前編はこちら
http://obibearmax.blog.fc2.com/blog-entry-157.html
引き続き、さらなるヘアスタイリングをしていきます。
ここからは熱処理などが入る為、十分に注意してください。
■ご注意■
・ドライヤー等の熱源、鋏等の刃物を使用します。火傷やケガなどにご注意ください。
・作業の内容上、植毛キャップやウィッグの形状が変質する可能性があります。
・記事は作業の工程を紹介するもので、この方法により生じた如何なる不具合も
弊社で責任を負う物ではありません。ご了承ください。
■上級者(?)編『熱処理によるヘアスタイリング』■
『[オビツショップ限定]4.5inchウィッグ』シリーズは耐熱ファイバーで作られています。
耐熱という事は『熱処理によって形状をアレンジできる』という事でもあります。
ただし、失敗すると取り返しがつかない場合がありますので十分ご注意の上
自己責任において作業をして頂くよう、お願いいたします。
*ちなみに非耐熱ファイバー(植毛用のサランもこれに含まれます)でも形状を
調整できますが、温度管理がシビアです。
少しでも温度が高いとチリチリになって使い物にならなくなってしまうのでご注意を…。
1:熱処理して何が楽しいのか
前編の最後、完成図を再度。可愛い。
可愛いけど…もうすこしシャープなイメージにしたいな~と思う事もあると思います。
それと、構造上どうしても出てしまう事のある萎えポイント『ハゲ』
毛量増やすとボワっとなるし、減らすとハゲるし、悩ましい所なんです。
『シルエットをシャープにしつつ、ハゲを目立たなくする』
この2点を熱処理によって実現していきましょう。
2:熱処理の下準備をしよう
ビニールスリーブを作ります。作ると言ってもただビニール袋を切るだけです。
ポリエチレンの小さい袋がホームセンターとかにまとめて売ってますので、それを切る。
今回は顔のタテ方向の半分くらいを覆うサイズに。
こんな感じ。
ドールをお迎えすると顔に巻いてあるアレですね。
OPP袋(ちょっとハリのあるパリパリした袋)で作ると丈夫なので家に置いておいても便利です。
とりあえずスリーブをかけてみます。
図に書いたようにハゲポイントを隠して維持できるかどうかや、毛の流れ方向をここでチェックします。
スリーブがこのようにかかればOK。
ボリュームを抑えたい部分のちょっと下あたりからスリーブが来るような位置取り。
この形状を出していきたいので、完成図を想像しながら毛流れを作っておきましょう。
ここでミスると髪型が崩れるので、変なら外してかけなおす、をイイ感じになるまで何度でもやります。
スリーブのきつさはかぶせる時に少し抵抗を感じるくらいに。
あまりきつすぎるとキャップや耳の段差が毛に反映されてしまいます。
スリーブが緩い場合は
ちょい折る
テープで止める
完成。これで折った分、外周が狭くなります。
3:熱処理開始
ドライヤーを当てていきます。
ドライヤーの先端オプションで細いヤツがあればそれに変えておきましょう。
前髪は今のままで可愛いので、なるべく熱風が当たらないように。
スリーブの部分は熱が通りにくいのでしっかりと。
こんな近づけてガンガンやっちゃっていいのかな?くらいでちょうどいいくらい。
毛がチリチリになってなければ耐熱温度内です。
こんな感じにビニールスリーブが熱で変質してちょっとキュッとなるくらいになったらやめ時です。
アツアツになっているので冷ましましょう。
熱でソフビが柔らかくなって首もグラグラですし、しばらく触れないであげて下さい。
4:熱処理終わり!確認しよう。
粗熱取れましたのでスリーブ外しました。イイ感じのシルエットになりました~!成功です。
ハゲ隠しも無事成功してますね。
*この時点でまだサイドのボリュームが残っていたり、形がキレイに出ていない場合は
スリーブを新しく作り、かけなおしてもう一度熱処理をしましょう。
慣れるとどのくらいのスリーブのきつさ、ドライヤーの当て具合で
どういう形状が出るかがなんとなくわかってきます。
熱処理の時にどうしても毛がいくらか犠牲になります。
意図しない方向に熱がかかってヨレたりしてしまうので、カットしましょう。
図のように切りくず沢山出るので、ブロワーで飛ばしてしまいましょう。
アイホールの中とかにも毛くずが入りがちなのでしっかりと。
5:仕上げよう!
前編と同様、水溶きジェルを塗って仕上げていきましょう。
サイドの丸みを熱処理で落とした分、シャープでスッキリとしたシルエットになりました。
櫛目をしっかり出したり
後ろ髪を左右に少し引き出してすこしボリュームを復活させてみたりも出来ます。
手間がかかる分、製品そのままでは出せない形状にも出来るのでトライする価値はありますよ~。
注意点をまとめます。
・スリーブはきつすぎず、緩すぎず。きついと変な段差が出たりして直すのが難しくなります。
・形状を変えたくないところには熱を当てない!
形状を作らない状態で熱を当てると、毛は本来のまっすぐな形に戻ろうとします。
これを利用する小技もありますが(後述します)どうしてもかかってしまう場合は布を当てるなどして熱を遮断しましょう。
・熱の当て過ぎに注意!耐熱温度を超えると毛が焼けてチリチリになったり燃えたりします。
十分注意してください。
・お湯でやる方法もありますが、場所や熱のコントロールが難しいので個人的にはお勧めしません…。
・量産のソフビヘッドは塗料も専用の物を使用しているためドライヤーの熱程度では変質する事は稀です。
ただ、100%大丈夫というわけではありませんので、ご注意ください。
・耐熱ファイバーを前提としたスタイリング方法です。植毛用サランや非耐熱ファイバーウィッグでは
ドライヤーの熱で毛が変質します。ご注意ください。
・紹介した加工方法でいかなる怪我や破損が起こっても弊社では責任を負う事は出来ません。
ご注意ください。
・この加工方法は私の自己流です。変だったらごめんなさい。
6:おまけ
小技とリカバリーなど。
ミディアムボブ ヒスイ
可愛いけどちょっとカールきついなあ…と思ったら
スリーブ緩めにかけて、毛先から側面にかけて軽く熱処理。
少し落ち着いて、カールが緩く下に落ちるようになりました。
ミディアムストレート ピーチフィズ
前髪形状を作らずに熱をかけてしまって前髪がカッパ状態に…!
前髪をおでこに沿わせてカールを作り、先端あたりをきつめにスリーブで絞って
おでこあたりを重点的に熱処理。
前髪がキレイに落ちた!あとはカットで誤魔化せる!
植毛キャップもウィッグも、スタイリングで何倍も可愛くなりますよ!
是非挑戦してみてくださいね!
2020.09.29